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マリージョアの風【ONE PIECE】

第19章 ドンキホーテ・ロシナンテ



『おれとウソップとロビンは今、この国の反ドフラミンゴ体制"リク王軍"と一緒にいる。おれたちはこのままこいつらに加勢するつもりだ。この勇敢なるちっぽけな軍隊をおれは見殺しにできねェ!!』


フランキーの声が割って入る。彼は本来、速やかに工場破壊を完了して船に戻ってくるはずだった。ところが、作戦途中でその"リク王軍"に出会い、この国に潜む深い闇を知ってしまったらしいの。


数え切れないほどの哀しみと憎しみは気付かれぬうちに闇に隠された。それでも、その網をくぐり抜けた怒りが、着々とこの国に降り積もっている。


フランキーが"ちっぽけな軍隊"と呼んだ小人族のリク王軍──トンタッタ族の反乱がまさにそれだ。長年に渡り蓄積された哀しみが、今この瞬間にも爆発しようとしているの。


…本当にとんでもないタイミングでここに来たものだわ。


熱のこもったフランキーの言葉を聞いて、サンジくんが口を開く。


「おれたちも加勢したいところだが…。今、シーザーとモモのすけを連れて戻るのはまずい気もするな」

「ええ。実は私もそう思ってた」


私も隣で頷きながら、今この時にみんなと連絡を取れてよかったと改めて思った。


──私たちはやっぱり、ドレスローザに残るべきではないわ。



「ドフラミンゴはシーザーだけでなく、モモくんにも興味があるのよね。一緒に連れて戻っては、守る方に戦力を割かれることは目に見えているわ。それはきっと"リク王軍"にとっても良くないと思うの」



状況を説明しながら、こちらの考えを伝える。


きっと誰も反対しない。そして、彼ならきっと、私たちの判断を信じてくれるという確信があった。


私は、ゾロが持つ電伝虫の奥にいるであろう我が船長に向かって声を張る。



「だからルフィ、私たちはシーザーとモモのすけを連れて、先に次の島、"ゾウ"に向かうわ!トラ男の意思を尊重する!!」

『わがっだ。お前らが…ウゥッ、それが良いって言うなら!…グスッ」


思った通り、一も二もなく聞こえてくる返答。


──仲間をとことん信じる。
これが、私たちの船長なのよね。




だけどちょっと待って……グスッ?

さっきから全く喋らないと思ったら、あんた、泣いてんの??



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