第18章 誘拐
「「「サンジーーーー!!!!!」」」
「ほう…強そうなのがきたな」
…!!!さっすがサンジくん!!
ほんとに頼りになるんだから!
そう叫びたいのに、声にならない。
ブルックをバシバシ叩いて感激に耐える。
正直、もうダメだと思ったわよ。アウラの前に立ってみたものの、ドフラミンゴに勝てる気なんて全然しないし。
勝手に船を出て行ったのは腹が立つけど、この際水に流してあげる!!
「痛い!!痛いです!!ナミさん!!ホネが砕けます!!私、もうホネしかないのにー!!!」
ブルックの叫び声が響く。
だけど、助かった!と安心したのも束の間。
ブルックの声の余韻が消えないうちに、チョッパーが不安そうな声を出した。
「なぁ、ナミ。なんかサンジの様子がおかしくないか?」
「…え?」
言われてみれば…確かに、変ね。
空中で動きを止めている…?
なにかしら。
何かに引っかかっているような、不自然な動き…。
凶悪な笑みを浮かべるドフラミンゴ。
ゾワっと鳥肌が立つ。
「ロー、よく見てろ。お前のせいで同盟の一味が死ぬぞ」
そう言って、鞭のようなものを大きく振りかぶる。とてつもなく、嫌な予感がした。
「……!!!サンジくん!!逃げて!!」
──攻撃が繰り出される直前だった。
「シャンブルズ」
低い声が聞こえた。
同時に、空中に浮かんでいたドフラミンゴの姿が消える。代わりに現れたのは、さっきまで鉄橋付近にいたはずの──。
「え…?」
瞬きをする間も無く、その知った人影は今度はサンジくんとともに消えて。
そして、私たちの目の前──サニー船の甲板に忽然と姿を現した。その両手にシーザーとサンジくんを抱えて。
「は!?!?」
「トラ男!?」
バッと海を見ると、さっきまでトラ男がいた鉄橋付近にピンク色のコートが見えた。状況から察するに、トラ男はドフラミンゴが標的を変えたことに気づき、自分の攻撃範囲内で"入れ替え"を繰り返して鉄橋から船まで飛んできたらしい。
そして、サンジくんに攻撃が当たる直前で、ドフラミンゴを鉄橋まで飛ばした、と。
ドフラミンゴの放った攻撃が、ドレスローザの巨大な建物を貫くのが遠くの方に見えた。つーっと頬に冷や汗が流れる。
…ほんと、頼りになる人が多くて良かった。