第3章 白と赤
夜になるといよいよ本格的に気温が下がった。
暖炉のそばに居ても手足の先から冷えがやってくる。
真っ黒のコートにくるまってジョナサンをしっかり抱きしめる。
ジョナサンはさっきから、起きてはぐずり、泣き疲れては眠るを繰り返していた。
本当はみんなと同じように寝室で寝るべきなんだろうけど、赤子がいるからという理由で1人だけ談話室を与えられた。
少し申し訳ない気持ちになったけど、ここなら夜泣きで迷惑をかけることもないだろう。
それはあたしにとってもありがたいことだった。タダで乗せてもらっている上に、夜に起こしてしまったら申し訳なさすぎる。
ジョナサンが再び深い眠りについたのを確認してから、あたしも毛布にくるまってそっと目を閉じた。
──これから始まる航海に想いを馳せながら。