第18章 誘拐
路地裏の闇に溶け込むようにして様子を窺いながら、思わず冷や汗が流れる。
敵は3人。
ローの実力はまだ分からないところが多い上に、ウソップやシーザーが見つかっていない。サイファーポールに今対面して良い方向に動くわけがなかった。
それに、私の記憶が正しければ、あそこにいる彼等は──。
「お前、アレに追われてんのか」
路地裏に身を潜めた後、あくまで冷静に観察している男を振り返る。気づいてくれたのは助かったけれど、呑気なことを言っている場合ではない。
「バカなこと言わないで。あなただって知っているでしょう。あれは──」
そう、あれは。
── サイファーポール"イージス"ゼロ。
世界最強の諜報機関、サイファーポールの最上位に位置する組織。その実態は謎に包まれている部分が多いものの、その名を聞いたことがある者なら誰もが共通認識として知っていることがある。
それはつまり、この世で最も権力を得た一族──"天竜人"の直属部隊であるということ。
「なぜ彼等がここに……?」
この国の異様な雰囲気も気になるところだけど、どうしてサイファーポールがこんなところに現れるの。この国に何があるっていうの。
…いや。
彼等がここにいる理由がドレスローザに関することなら問題ない。だけど、もしそれ以外なら──。
例えば、私たちがここにいることに関係するなら──?
一瞬、とても嫌な予感が胸をざわつかせる。
その正体が分からないまま、なんとなく隣の彼を見た。
さっき話をしていたからか──。
彼の真剣な表情を見ていると、なぜか、あの銀色が脳裏をよぎった。