第18章 誘拐
「まぁいいわ。じっくり考えてみて。…それにしても」
ぐるりと通りを見回す。
「ドフラミンゴが七武海を脱退したのはつい数日前の話なのに、どうしてこの国はこんなに賑やかなのかしら」
ウソップとシーザーを探しながら、違和感を感じたのはそれだった。人々の顔に翳りは一切なく、みんな晴れ晴れと楽しげな表情を浮かべている。国王が王位を放棄した国だとは到底思えない。
ローもそれは不審に感じていたのか、気難しそうに眉間に皺を寄せている。…もともとそんな表情だから、普段との違いはわからないんだけど。
なんて思っていたら──。
「おいニコ屋、叫ぶなよ」
隣を歩く彼が、一瞬身を強張らせた気がした。
低い声を落としたかと思うと、何かを言う暇もなく、突然私の腕を掴む。
「──!?」
そして次の瞬間、大通りから少し逸れた路地裏にそのまま私を引っ張り込んだ。
声は出さなかった。
彼に言われたからではない。
ローが動いたその一瞬の後に、私も大通りを歩く人物に気づいたから。
舞台衣装のようなお面を身につけた異様な風貌の3人組。どう見てもあれは。
「……サイファーポール……!?」