• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第18章 誘拐


やっぱりカッコいい……じゃなくて。
たしかに、黒い。全身真っ黒だ。


そしてその隣には同じく黒いワンピースに身を包んだミステリアスな美女──ロビンがいて。チョッパーが"おまえら"と言ったのはこれが理由だ。


2人とも高身長だから、並んだ様はかなり絵になる。バレないように変装しているのだけど、セレブのお忍びのようで逆に注目を集めそうなくらいだった。隣にいるのがあたしだったらああはならないだろう。


そんな二人を見ていると、さっきまでの苛立ちとは違ったモヤモヤが心に充満していく。


普段だったらなんとも思わないのに、日に日に募るストレスも相まって、今だけは感情をうまく誤魔化せる自信がなかった。


我ながらひどい。
嫉妬ってやつ。


余計なことを考えてしまわないように、できるだけ視界に入らないようにするけど、この距離では二人の会話まで遮断することはできなくて。


「…いいか。以前話したと思うが、おれたちはシーザーを連れてグリーンビットへ向かう」

「船じゃ行けないって言ってたとこね」



…作戦なんて、あたし聞かされてない。
あたしの知らない話を、そんなふうに目の前でしないでよ。


どうせ連れてってくれないなら、あたしのいないところでしてくれればいいのに。



「あぁ、奴は必ずそこへくる」



あたしも行きたい。
あたしだって、一緒に…。



痛みを感じるくらい、ぎゅっと唇を噛み締める。



悔しくて、心細くて、腹が立つ。
そして、無性に悲しかった。



どんなに足掻いて駄々をこねたってやっぱり。

彼の隣に立つのは、あたしではないのだ。



/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp