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マリージョアの風【ONE PIECE】

第18章 誘拐


実は、ローとはあの夜以来、まともに話せてなかった。彼の方から話しかけてくることなんてほとんど無かったし、あたしも必要以上に話しかけることはしなかったから。


彼の態度は、あの夜の前後で全くと言っていいほど変わらなかった。


一瞬でも距離が縮まったんじゃないかと思ったあたしの期待は、次の日には早々に打ち砕かれることになった。


彼は相変わらず、大事な話をするときはあたしを遠ざけたし、特にドフラミンゴに関しては口に出すことすらしなくなった。


守られている、というより、仲間外れにされている。ローはあくまであたしを蚊帳の外に置いて、この件に一切立ち入らせないつもりのようだった。


戦力外通告。子供扱い。足手まとい。


そんなワードがぐるぐると頭の中で回る。
意地悪でそうされてるんじゃ無いことが分かっているだけに余計タチが悪い。知らなかったら、今まで通り反発できたのに。


「ねぇ、ドレスローザに着いても、やっぱりあたしは船の中でお留守番なの?」


ダメ元で最後にもう一度聞いてみると、ローはわずかに目を細めてあたしを見た。


…だめってことね。
はいはい。分かったよもう。


船の中でおとなしくしてればいいんでしょう。


諦めてふい、と目を背けると、目線の先からドタドタと元気に走ってくる青年。


「ゆきんこーー!今のもう一回やろう!!!」

「「もう一回!もう一回!」」


目をキラキラさせるルフィの後ろから、ウソップとチョッパーも駆けてくる。あたしもここから逃げる口実ができてほっとする。そして、俄然やる気が出た。


「まっかせて!今度はこの船飛ばせてみせる!」

「「「やっほ〜〜〜い!」」」

「アウラ!お願いだからやめて!!」


盛り上がる男性陣の後ろから悲鳴にも近いナミの声。


ふふん。ナミには悪いけど、あたし、みんなにお願いされるの嫌いじゃないんだ。こんなので喜んでくれるならあたしも嬉しい。力を使う練習にもなるしね。



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