第18章 誘拐
捕った……!!
そう確信したとき、ルフィはあたしの方を見るより前に、
「ゾロ、いい」
鋭く一言呟いた。そして、いとも簡単にあたしの足を掴んでそのまま地面にねじ伏せたのだった。
一瞬の出来事。
瞬きをする暇もなかった。
ルフィは目を見開くあたしを見て、きょとんと首を傾げてみせた。
「なんだ?」
「えっと……ちょっと魔がさしたと言うか、出来心というか…」
「???……なんか気に障ったのか?」
「ううん!ちがうの。怒ってるんじゃなくて。正直に言うと、ちょっとルフィを試してみたくなっただけ…です」
それを聞いて、一気にだらりと力を抜くルフィ。
「なんだそりゃ!!そんな理由で攻撃するなよ。おれのこと嫌いになったのかと思ったじゃねェか」
手を逃れて、あたしも起き上がる。
放されて気づいたけど、体のどこも痛くなかった。
「ルフィって……なんか変ね」
「お前に言われたかねェ!!」
意外にも鋭いツッコミを入れられて、あたしはますます驚いてルフィを見返す。やや不機嫌そうな顔をしているのがなんだか珍しい。
「…焦った?」
「あったりまえだろ!!おれは気に入ったやつには嫌われたくねェ」
ルフィの真っ直ぐ過ぎる言葉は、たまにダイレクトに心に響く。ここまで裏表がないのも、それはそれで問題かも知れない。
どう答えようか迷っていると、後ろから楽しそうな声が聞こえてきた。
「いきなり船長とらせるわけにはいかねェな。まずはおれからにしとけ。いつでも相手してやるよ」
振り返ると、刀を肩にかけているゾロ。
…あぁ、さっきのルフィの一言って。
そういうこと。
あたしは気まずさと申し訳なさで居た堪れなくなって、
「…ごめん。もうやらない」
素直にルフィに謝ったのだった。