第18章 誘拐
──あれは確か、サニー号に乗りこんだ翌日のことだった。激闘を終えて、どこかゆったりとした空気が流れる船内。
さらなる冒険に備えて、めいめいに好きなように過ごしていた。
女性陣にかいがいしく食事を運んでいる者もあれば、半裸で筋トレをする者もいて。サニー号の広い甲板で駆け回ったり、ガーデニングに精を出したり。
あたしは、そんなみんなの様子を例にもよって見張り台の屋根の上から眺めていた。
そして、見つけたのだ。
サニー号の特徴的な船首、ライオンを象った像の上で気持ちよさそうに寝転ぶ彼を。
だらだらと伸びているルフィを眺めていると、むくむくと好奇心が顔を出す。パンクハザードではさんざん彼に振り回されたんだから、不意打ちでもなんでも、一本取れたらさぞかしスカッとするだろう。
思うや否や、あたしは屋根を端をたんっと蹴って、ふわりと彼の元まで降り立つ。そして、着地するかしないかの内に、体を沈め、左足を軸にして蹴りを放った。
寝転んでいる相手に、突然殺気をこめて右足を振り抜こうとしたんだから、今思えば相当危ないヤツに違いなかった。だけど、その時のあたしはルフィに一泡吹かせてやることしか頭になくて。