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マリージョアの風【ONE PIECE】

第18章 誘拐


航海に最も影響を与えるのは海と空だ。それは大昔から決まっている事。こんなに大きなサニー号だって、広大な世界から見れば、海と空の境界線の上の、点にもならないちっぽけな存在だった。


海を操ることは、悪魔の実の能力者には不可能。実を食べた瞬間から、海に嫌われてしまうから。


だから、空を操ることができる能力は、もしかすると航海者たちにとっては喉から手が出るほど欲しい力なのかもしれなかった。


あたしはたった数日の航海で、この能力があまりに航海者向きなことを実感していた。戦いでは役に立てなかったけど、こんなふうにみんなの力になれるなら、それもありかも知れない。


「ところでお前、腹でも痛ェのか?」

「は?」


一人考えていたとき、突然、ルフィのまんまるの目が視界に飛び込んできた。思わずのけぞりながら、あたしは何を言い出すのかと思考をめぐらせる。


「あたし、別にどこも調子悪くないよ」

「そうか?ここ最近ずっとこんな顔してんぞ」

「失礼ね!!そんな顔してない!!」


これでもかというほどしかめっつらをしてみせるルフィ。悪意がないにしても、それはやり過ぎだ。

ムッとして、ルフィの両頬を摘むと力任せにグイーンと引っ張ってやる。さすがゴム人間。面白いくらいに伸びる。


「やめろぉよ〜ひたたたたた」


赤くなった頬をさすりながら涙目であたしを見るルフィはおよそ懸賞金4億ベリーの賞金首には見えなかった。普段はこんななのに、シーザーを倒したのは彼なんだから、人は見かけによらないとはこのことだ。


あたしはしみじみと思いながら、ルフィと共に旅をし始めたすぐに起こした一件を思い出していた。


実は、あたしは彼の実力を試そうとしたことがある。あまりにも彼に緊張感が無いもんだからさ。…ほんの遊び心で。



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