第17章 岐路(Ⅱ)
「だが、今来たのはまずかったかもな……」
「ローの計画の邪魔になるから?」
「いや…まぁそれもあるが」
「じゃあ、アイツが──ドフラミンゴが、いるから?」
「どちらかと言えばそっちだな。あとは…新世界に出るにはお前の実力が足りてねェのが一番問題だ」
ばっさり切り捨てるロー。
図星なだけに、あたしもすぐに言葉が出てこない。
確かに、ここに来てから己の実力不足を実感することは山ほどあった。
それはその通りだ。あたしだって、間違っても今のままで十分だなんて思ってない。
…だけど。
さっきからのローの態度に疑問を感じているのも確かだった。
彼は再会してからずっと、あたしのことを子供扱いしてる。敵前で逃げろと言ったり、蜂あっても戦うなと忠告したり。致命傷じゃないただの傷にさえ、舌打ちする始末だ。
彼の中で、あたしは6年前のまま止まってるんじゃない…?なんとなく、そんな気がするのだ。
ローがあの頃のあたしのままだと思ってるんなら、それは大きな間違いだった。あたしだって、この2年間ぐうたら旅をしてたわけじゃない。何度も命のやり取りだってしてきた。
今は悪魔の実の能力もあるし、まだまだ強くなれる可能性だってある。
だから、いつまでも子供扱いされてるのは何だか気に食わない。ローは今のあたしをほとんど知らないはずなのに。
顔を見て言う勇気はなかったけど、そう思ったら声に出さずにはいられなかった。誰が何と言おうと、これが今のあたしの、正直な気持ちだから。
「あたし、ローが思ってるほど子供じゃないし、弱くもない。自分の身くらい自分でどうにかするよ」
危険を承知でここまで来たの。
いつだってずっと、死と隣り合わせだった。
今さら自分の命が惜しいなんて、思えるはずないでしょう。
「──もし、それでダメだったとしても、ローが自分を責めることはないんだよ。ローは気にせず前に進めばいい。無理に守ろうとしてくれなくても…っ」
──無理に守ろうとしてくれなくていいんだよ。
一緒にいたいのはあたしのわがままで、それでどうなったとしても、あたしの責任なんだから。
一気にそう言い切ろうと思った。
──だけど。