第17章 岐路(Ⅱ)
1人悶々と考え込んでしまったあたしに、ナミがからりとした声で話しかける。
「ま、明日からまた大変そうだけど、みんながちゃんと守ってくれるからどんと構えてなさい」
「みんな?」
「ええ。ああ見えてやる時はやる連中だから。それに、」
ナミの声が束の間途絶えたかと思うと、揶揄うような調子で続きが聞こえてきた。
「──今日の様子を見てる限りじゃ、トラ男も全力で守ってくれる気でしょ、あんたのこと」
「フフ、あんなにゾロに怒っていたものね」
「…え??あぁ、さっきの………」
何でローがあんなに怒ったのかって。
あたしちょっと気になってて…。
「…………え?」
だって、でも。
それじゃあまるで。
「よっぽどとられたくなかったのねぇ。案外、道のりは遠くないかもよ」
ナミの笑いを含んだ声が聞こえて、あたしは呆然としてから、思わず両手で顔を覆った。
…………顔が熱い。
今さら気づいてなんだけど。
ローがそういう意味でゾロに怒ったんなら。
それは、すごく、嬉しいかもしれない。
彼の一挙手一投足にいちいち喜んだり落ち込んだりして、ほんと馬鹿みたいだ。だけど──。
「あたし、ちょっと夜風に当たってくる…」
…心臓がどくどくと脈打って、ますます寝れそうになかったから。
あたしは2人に小さくつぶやいて、そっとベッドを抜け出したのだった。