第17章 岐路(Ⅱ)
「…アウラは、ドレスローザに行ったことはあるのかしら」
突然、ふと思い出したようにロビンがつぶやいた。
「ないよ。あたしノースブルー出身だし。旅に出るまでずっとそこで暮らしてたの」
ロビンが言いたいことは何となく分かる。
「だから、ドレスローザには行ったことないし、知り合いもいない」
「そう。どんなヤツなのかしらね…。今のところあんまり良い印象はないけど」
ロビンの向こうから、声だけが聞こえる。
ナミの顔はいつの間にか見えなくなっていた。
「実際のところ、あたしもあんまり実感湧かないの。今さら会っても、気づかないかもしんない」
あたしはできるだけ何でもないように、笑ってみせた。
2人が言ってるのは、あたしの"家族"のことだ。
ドレスローザにいる、"ジョーカー"と呼ばれる男。
聞いた時は驚いたけど、今思えばいろいろ疑問が湧いてくる。
なんだって、あたしだけノースブルーで育ったの。今まで家族がいたことすら知らされてなかったなんて。
だいたい、そのドフラミンゴってヤツ、一体いくつよ。ローの幼少期のボスってことは、相当歳上じゃない。あたしにそんな歳の離れた兄がいたの?
それに、他の家族は?
父親や母親はどこにいるの。
どう考えても、おかしい。
おかしいことだらけ過ぎて、自分の話じゃないみたいなのよ。