第17章 岐路(Ⅱ)
………………え?
「………他には?」
「それ以上のこたァおれは知らねェ!!ただ当時、あの野郎がコソコソと裏でなんかしてやがったのは確かだ。おれも新しい発見があったのかと嗅ぎ回って…あぁ、ウォッホン、いや、様子を伺っていたからな」
沈黙が降りた。
状況が飲み込めていないのはどうやらあたしだけではないようだった。
ドフラミンゴの話をしていたはずなのに、どうしてマリージョアだったり、ベガパンクだったりが出てくるの?
それに、ちらほらあたしの名前が出てくるのがどうにも居心地が悪い。あたしにも聞き馴染みないワードばっかりなのに。
誰もが思考を巡らせ沈黙する中、どこまでも能天気な男が一人。
「んーーそか。じゃ、ミンゴに会って聞くしかねェな!そいつなら全部知ってんだろ?」
顔よりも大きいお肉を貪りながら、あっけらかんと言ってのける。サンジがふーっと長くタバコの煙を吐き出した。
「まー…そうだな。今回ばっかはルフィが正しいな。分からねェもんはいくら考えても仕方ねェ」
「お前ら…」
ローが呆れたようにルフィを見たけど、特に反論は無かったのか、そのまま沈黙した。
実際、今の時点であたしたちにできることはなかった。すでにローが一手目は進めていたわけだし(誰の同意も得ず、ね!)。
全ては、明日のドフラミンゴの反応次第。
ピースがない状態で考えても、仕方がない。
「そうね。これからのことはまた明日考えましょ。私今日はもう疲れちゃった!!」
これでこの話はおしまい、とでも言うようにナミがぐぅっっと伸びをした。それから、あたしを振り返ってにっこり笑う。
「アウラ、一緒にお風呂入る?疲れたでしょ?」
「えっ、いいの?」
そ、それは非常に嬉しいかもしれない!!
パンクハザードは寒くてあんまり汗はかかなかったけど、身体中に疲労は溜まってるし、できることならお風呂でゆっくり疲れを癒したい。
あからさまに目を輝かせたあたしを見てロビンがウフフと笑った。
「あなた、意外とタフそうね。ええ、もちろんよ。服を貸してあげる」
「やったーー!!!」
勢いをつけて立ち上がる。同じく立ち上がったローが何か言いたそうな目でちらとあたしを見たけれど、結局何も言わずにそのまま背を向けた。