第17章 岐路(Ⅱ)
え?ちょっと待ってよ。
それってつまり、ドフラミンゴは"家族だから"っていうそれだけの理由で、ヴェルゴやモネを使ってあたしを連れて行こうとしたってわけ??あんな強引に?
じゃあそう言ってくれればよかったのに。
実感は湧いてないものの、家族だって人に会いたいと言われたら、あたしも悪い気はしないけど。
そんなことをのんびり考えていると、
「私からも一ついいかしら?」
ずっと黙って聞いていたロビンが口を挟んだ。
「ヴェルゴがアウラを別の呼び方をしていたのが気になるわ。確か…そう、確か"マリージョアの風"と言ってなかったかしら」
「えー?そんなこと言ってたか〜〜??」
「ええ、ルフィ。彼は確かそう言っていたわ。マリージョアと言えば天竜人の聖地のはずよ。それも何か関係が?」
「……なん、だと!?」
その言葉に反応したのは、ローではない。
意外な人物だった。
「……何か知っているのか?シーザー屋」
「し、知ってるといやぁ知ってるが…。そんなに大したことは……いや、あ、タダで教えるわけにゃいかねェなァ?」
途中で思い出したように付け加え、いやらしく笑うシーザー・クラウン。
誰が見てもイラッとくる笑みだったけど、ローは無表情を崩さない。無言で、隣に立て掛けてあった大太刀(鬼哭って言うんだって)に手をかけた。
「……一本でいいか?」
「ア?」
「腕、一本落とせば話すか?」
何でもないように恐ろしいことを言う男。
調子を狂わされたのはシーザーの方だった。
「わわわわわわかった!!嘘だ!!刀から手を離せ!!」
「……」
「し、知ってるっつっても、その名を聞いたくらいだ。ありゃあ20年ほど前か。ベガパンクの野郎が話していやがったのを聞いたことがある」
ベガパンク……?
それって……。
確か、パンクハザードの実験に携わっていた人じゃなかったっけ。世界政府の機密事項に関わる重要人物…だとかなんとか。
「…"もうすぐ完成しそうだ。わしの最高傑作だ"っつってな」