第17章 岐路(Ⅱ)
人造・悪魔の実なんてものがあるなら、この世は能力者だらけになっちゃうじゃない。カイドウみたいな海賊がゴロゴロ出てきて、覇権争いは混沌を極めるに違いない。
本当にそんなものあるの?
そもそも、どうやって作るの?
いろいろ疑問はわいてくるけど、それは一旦置いとくとして…。
とにかく、その工場を所有しているのがドンキホーテ・ドフラミンゴって男。裏社会で最も信頼と力を得た人物。裏の呼び名は、これまでに何度か聞いたことのある、"ジョーカー"。
その危険極まりない男が、あたしの……なんだって?
麦わら一味(ごく一部)の抗議を聞き流しながら、相変わらず黙々と食事を続けているその人に小声で聞いてみる。
「ね、ねぇ。さっきの冗談よね?ドフラミンゴがその…」
ローはこっちを見ない。
「残念だが本当の話だ。…んなつまらねェ嘘つくかよ」
「だってそんなの今まで一言も…」
「あの島にいる限り、言っても仕方ねェだろ。あの頃のお前に理解できたとも思えねェし」
わ、悪かったね。
オツムが足りなくて。
「でも、じゃあ……」
聞きたいことはいっぱいあるはずなのに、何から聞けばいいのか分からない。言葉が喉の奥でつっかえて何も聞けないでいると、
「──同盟を組んだ理由は大体分かった。四皇を狙うのも悪くねェ、だが」
口を開いたのはゾロだった。
さっきまでサンジと乱闘騒ぎを起こしていたのは幻覚だったの?ってくらい落ち着いた表情。
「ドフラミンゴはそこの白いのを追っていたな?シーザーを使ってドフラミンゴに脅しをかけようって話だが……シーザーより"そっち"のがヤツの気を引く可能性はねェのか?」