第17章 岐路(Ⅱ)
「「"あの"ドフラミンゴを脅しただぁ〜〜!?!?」」
ウソップとナミの悲鳴がサニー号に響く。
たった今しれっとそう言ってのけた男は、あたしの隣に座って、出された料理をもぐもぐとたいらげていた。
「ルフィダメだダメだ!!!今すぐ同盟なんてもんはやめよう!!」
「こんな男と行動を共にするなんて、命がいくらあったって足りないわよ!考え直しましょう!!!」
彼らの言い分はもっともだ。
言いたいことはわかる。
どこに電伝虫をかけていたのかと思いきや、王下七武海の一人を、シーザー・クラウンで釣って脅していただなんて、そんなの命知らずにもほどがある。それも、取引条件は"王下七武海を辞めること"だなんて。
そんなことしたら、いつヤツが怒ってこの船を襲ってくるかわからないじゃないの。
相談も無しになんて勝手なことをしてくれたんだ、この男は。
そう思うんだけど。
だけどそれより。
──実際のところ、そんなことよりあたしは、ローが最初に放った言葉の衝撃から、まだ立ち直れないでいたのだった。
ローは以前、四皇を一人引きずり下ろす策があると言った。その四皇と言うのは、どうやら"百獣のカイドウ"という男らしい。
あたしも名前くらいは聞いたことがある。動物(ゾオン)系能力者を大量に従えた、四皇の中でも巨大かつ凶悪な海賊組織。
白ひげ亡き今、新世界で最強の海賊と言っても過言でない。
そのカイドウがどうしてそこまで能力者ばかりをかき集めることができたのかと言うと。
「まさか能力者を"造る"ことができるとはなァ…。何でもアリだな新世界は」
サンジのぼやきに頷くことしかできない。
だって信じられる?──なんでも、新世界には"悪魔の実の製造工場"が存在するらしいのよ。