• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第17章 岐路(Ⅱ)


…そんなこと言われても。


妖しい光を湛えた彼の瞳を見つめながら、困ってしまってそのまま動きを止める。


どうしよう。
ここは正直に言って、さっさと逃げたほうがいいんだろうか。


それとも、彼はあたしを試してる?


ためらっている間にも、空気が徐々に重量感を増していく気がした。

どろり、と肌にまとわりつくようなそれは、あたしの思考までもを絡め取って、動きを鈍らせる。



からかってるなら、逃げるのは癪、だけど。


だけど、どうすればいいの。

あたし、だって、本当はこんな…。



涙は引っ込めたはずなのに、混乱に後押しされてまた視界にうっすらと膜を張る。


「…んな顔すんなよ。虐めたくなんだろが」


至近距離で目を細めて嘲笑う男を、途方に暮れて見つめるしかできないでいる、と──。



「てンめーはアウラちゃんに何してんだ!!この腐れマリモ!!!」

「ひゃっ」



真横から黒い何かが飛び込んできて、ゾロの腕の力が僅かに緩んだ。黒い…?え、足?


「ッチ、あぶねェなクソコックがァ!!」


サンジの蹴りを後ろに避けてかわしたゾロ。
その目には、さっきまでの妖艶な光はなかった。苛立ったように青筋を浮かべてサンジに刀を振りかざしている。

抜刀した瞬間は、見えなかった。



一方、あたしはと言うと…。



/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp