第17章 岐路(Ⅱ)
思い出せば出すほど腹が立ってくる。
だって、彼は言ったじゃないの。
あの白い部屋で。
パンクハザードに居た理由。そして、彼が何を考えているのかを、教えてくれるって。
これじゃ、約束が違うじゃない。
「まったく。誰と話してんのよ…」
小さくつぶやきながら、それでも耳を澄ますことをせずちゃんとシャットアウトしている自分になんだか複雑な気分になる。
あたしって変なところで真面目なのよね。はあ。
「…で?」
「は?」
麦わらの一味に混じって有り難くご飯を頂きながら、モヤモヤを募らせていたとき、あたしの隣に座っていた緑色の頭の剣士がおもむろに口を開いた。
「何でこの白いのはウチの船に乗ってんだ?」
「そりゃゆきんこはトラ男の仲間だからだ!!」
「そうか」
「ルフィ、それは答えになってねェよ!!ゾロも納得すんな!!」
「あたしは、"ゆきんこ"でも"白いの"でもないって言ってるでしょう!!」
ウソップとあたしのツッコミが彼らの会話を遮ったところで、あたしはふと思い返す。
そういえば、同盟を組むって決まった時、ゾロはあの場にいなかったんだっけ。そりゃ、ローとあたしが何でここにいるのか疑問よね。
なのに、今まで特に文句も言わずに、ムシャムシャとご飯を食べてるのは、それだけルフィのことを信用しているからなのか。…それとも単に興味がないだけ?
ロビンは相変わらずウフフと笑ってるし、フランキーとブルックは侍さんと子供(えーっと、錦えもんさんとモモのすけくんと言ったっけ)と何やら話してるし。
さっきまで激闘を繰り広げていたなんて嘘みたい。どうしてこんなに能天気でいられるのか不思議よ。
…だって。
あたしは彼らから"それ"に目を移す。
──そこには、彼らが倒した敵、シーザー・クラウンが転がっているんだから。