• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第17章 岐路(Ⅱ)


「足を出せ」

「はい?」


ローの意図が分からず困惑する。


なぜ、足?
突然何を言い出すのよ、この男は。


ぽかんとしているあたしに構わず、ローはあたしの前にしゃがみ込む。彼の骨張った手があたしの左足に触れてからようやく、どうやらモネにやられた傷を診てくれる気らしい、と気付いた。


「も、もう大丈夫だよ。血もとまったし」

「……」


動揺するあたしの言葉を見事にスルーして、彼は無言で座るように促す。あたしは抵抗は無駄だと悟って渋々言うことを聞き、彼の前に腰を下ろしたのだった。


治療の間、彼は終始無言だった。
いつになく真剣な眼差しに、彼の特徴的な帽子の影が落ちる。


それを見下ろす形で治療を受けながら、思わずどきどきしてしまったのはここだけの秘密ね。心臓の音が聞こえなくて本当に良かった。



とにかく、器用にあたしの左足に、包帯(そう言えばどこから調達したんだろう…)を巻き終えたあと、ローはようやく顔を上げた。


「これから一本連絡を入れる。…聞こえねェように耳、塞いどけよ」

「電伝虫?誰にかけるの?」

「…いいから向こう行ってろ」


ご丁寧に、デッキにいるルフィ達麦わらの一味の方を人差し指で示して、あたしを追い払おうとする。


そんなの、はいそうですか、なんて納得できるはずないでしょう。


「ロー、さっき、いつかあたしにも全部教えてくれるって言ったよね。もうそろそろ教えてよ。あなたはこれから何をするつもりなの」


あたしだって、あなたと同じ方向を見ていたいのに。そのためにここまで来たんだから。


どうして今、一人でいるのか。
他の仲間たちはどこにいるのか。
これから、何をしようとしているのか。


そろそろ教えてくれてもいいはずだ。


そう思うのに、彼はどこまでも頑なだった。


「お前は関わらねェ方がいい」

「どうして?」

「分からねェことが多すぎるからだ。シーザーよりこっちの方がまずかったのかもしれねェ…。嫌な予感がしやがる」


眉間に皺を寄せて、最後は独り言のように呟く。


/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp