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マリージョアの風【ONE PIECE】

第2章 旅立ち


夕方、出港よりもかなり早い時間にシスターが15人の子供たちを連れて港にやってきた。


誰か来ないかもなんて思ってたけど、ジョナサンを見送るために全員来たみたいだ。


「シスター!」


荷運びも終盤に差し掛かっていたから、少し早めに抜けてシスターの元に駆け寄る。


「あら、もう仕事終わったの?」

「うん!早めに抜けさせてもらったの。みんな来たのね」


昨日メリダさんに借りた台車には、歩くのが覚束ないちびっこたちが乗っていた。


それを見て少し笑うと、シスターも困ったように笑った。


「そうなの。みんなジョナサンを見送りたかったみたいね」


1週間だけだったけど、みんな1番末っ子の弟を可愛がっていた。
やっぱり寂しいよね。


1人ずつ、優しい子供たちの頭を撫でる。
自慢の可愛い弟と妹たち。
この子たちともしばしの別れだ。


みんな撫でられて嬉しそうだったけど、ジョナサンを見つめる目だけは寂しそうだった。


この子たちにとっては突然のお別れになっちゃったもんね。


勝手に決めちゃってごめんね。
またジョナサンが大きくなったころに、みんなで会いに行こう。



心の中で一つ思いを固めて、最後にシスターに向かい合う。


「行ってきます。ちょっとだけ忙しくなるね、ごめんね」


シスターはいつものお日様みたいな笑顔でにっこり笑う。


「なに言ってるの。むしろ頼んで悪いくらいよ。ちょっとくらい、羽を伸ばしてきてもいいのよ」

「船に乗れるだけで十分よ」


と言いながら、あたしもつられて笑って、ジョナサンを受け取った。




甲板では乗組員が出航の準備をしていた。
もうそろそろ時間だ。


片手でリュックをつかんで、そのまま船に乗り込む。



「行ってきまーーす!」



この平和で穏やかな島ともしばしお別れだ。


初めて海に出る。
ワクワクが止まらない。


夕陽が沈むにはまだ早い時間。
天候は良好。



出航の日。



4年も前にここを去ったローの背中が今から向かう海の遥か先にあるような気がした。



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