• テキストサイズ

マリージョアの風【ONE PIECE】

第16章 岐路(Ⅰ)



「そんなことより!」


あたしが一人で頷いていると、ナミが突然大きな声をあげた。


「話したかったのは、モチャのことよ!チョッパーが診ているから今は少し落ち着いているわ。だけど、鎮痛剤で押さえ込めてるだけだから、長くはもたないだろうって…」


モチャね、モチャ…?
確か彼女は、キャンディを持って逃げて...。それで...。


反応が鈍いあたしを見て、ナミはもどかしそうに言葉を続けた。


「それで、トラ男はなんて…?」


──その時になってやっと、あたしは眠りに落ちる前の全てのことを思い出したのだった。




氷に漬けられたみたいに、心臓がヒヤリと冷たくなる。


あたし、何をしてたんだろう!


本当に眠り込んでる場合じゃないじゃないの!
さらに言えば、罪悪感を感じている暇もなかったのよ!!


急な頭痛なんて、そんなのなんの言い訳にもならない。


こんな大事なことをすっかり忘れていたなんて。
あたしはそのために、ローを探していたと言うのに!


「ナミ、どうしよう!あたしまだローに言えてない!」


真っ青になって、ナミの顔を見つめ返した後、あたしは居ても立っても居られなくなって、今度は己の足を使わずに瞬時に駆けた。



モチャのことを助けられるであろう、唯一の人の元まで。



/ 716ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp