第16章 岐路(Ⅰ)
気絶してからそんなに時間は経っていないってローは言った…ああいや、言おうとしたけど、じゃあここはどこだろう?
あたし、研究所の中にいたよね?
だけど、今真上に見えるのは雪の降る青空。(雪と青空って変な感じだけど、実際そうなんだもん)
「おれが元気の出る料理作ってあげるからねぇ〜〜〜!!!」
去っていく金髪の彼を見送りながら、そのままぐるりと後ろを振り向いて、あたしは思わず口を開けて固まった。
「うそ、でしょ。研究所は…?」
今の今まで研究所があったであろう場所には、何かで抉り取られたみたいな大きな穴が空いていた。
研究所もその周りの山も見るも無惨な姿になっている。土砂崩れなんて可愛いもんじゃない。言うなら、爆発?
「何…?何があったの…?」
わけもわからず困惑していると、遠くから声がかかった。
「あーーー!!やっと起きたか!ゆきんこ!」
「おめェよく寝てられたなぁ〜あの爆音で!」
声がした方向を振り向いて、よく知った顔を見つける。
「ルフィ!ウソップ!よかった無事だったんだ…」
安心すると共に、ぼんやりしている場合じゃないことに急に思い至った。咄嗟にローの肩をバンバン叩いて背から降りる。
「ロー、下ろして!」
「………」
ルフィのもとに駆けながら、あたしは必死で状況に追いつこうと頭を巡らせた。
ルフィはシーザーを探してたはずだ。
もう会ったんだろうか?もしかして、戦った後?
「ルフィ、シーザーは?勝ったの!?」
「しっしし。あったりまえだろ」
「バカかおめーは!このウソップ様がいて負けるわけねーだろ!」
「…そう。そうだよね。そうか。もう、全部終わったんだ...」
あたしが寝てる間に。
研究所はなくなって、ルフィはシーザーをぶっ倒して。
…ローはヴェルゴを倒して。