第15章 存在理由
「え…?…どういう状況?」
ちょっとこれは…。全然わかんないかも。
もしかして横たわってるのは…ヴェルゴ?
彼の体が切断されてしまってるのを見ると、ローが勝った、の?
ここに来る途中、風に乗って微かに血の臭いがした。
ローの能力で血が出ることなんてないから、きっとローが怪我してるんだと、彼の方が劣勢なんだと、てっきりそう思ってたのに。
なんだ、心配することなかったんだ。
だけどそれにしても…。
なんで揃いも揃ってこっち見んのよ。
突然現れたから、驚いただけなのかもしれないけど。
だけどそれにしては、流れている空気が微妙な感じ。
ちょっと、いや、かなり不気味なんだけど。
「お前がここに来たということは、モネはしくじったということか」
上半身だけになってるくせに、平然と喋るヴェルゴ。
モネがしくじった…?
あ。もしかして、あたしを捕まえようとしてた、あれのこと?
あたしは奇妙な空気感に耐えられなくなったのもあって、ヴェルゴの問いかけに答えることにした。
「そ、そうよ。モネは今頃雪の上で伸びてるよ」
あたしがやったわけではないんだけど。それに、ゾロが勝ったのかもまだ分からないんだけど。
ここで、バカ正直に答えてやる必要はない。
あたしは精一杯余裕のある表情をして、ヴェルゴを見る。
だけど。
「てめェ、モネと戦ったのか?」
その隣に立つ人の表情で、あたしは言葉を選び間違えたことに気付いた。
しまった。
しらばっくれるんだった。
だって、今になって思い出したんだけど。
彼、別れた時に確かこう言ってなかった?
ヴェルゴとモネとは戦うな、って。
ヴェルゴを見つけた時はまだ覚えてたんだけど、モネに会った時は彼女の挑発にのせられて、その言葉をすっかり忘れてた。
「ロー、あの、仕方なかったの。だってモネが目の前に立ち塞がってたんだもの」
今の今まで忘れてただけに、なんとなく後ろめたくて言い訳がましく言ってみる。