第15章 存在理由
『フフフ!!!久しぶりだなァ、ロー。こうやって話すのは13年ぶりか?』
電伝虫から聞こえた声に聞き覚えがあった。今は"ジョーカー"と呼ばれているが、間違いねぇ。
王下七武海の1人、ドンキホーテ・ドフラミンゴだ。
トラファルガー・ロー本人から聞いた話では、ローは過去、ドフラミンゴの部下だったらしい。
「御託はいい。さっさとおれの質問に答えろ」
…奴にはその事実に対して思い入れも感傷も特に無いようだが。
『まあそう急くな。…ヴェルゴ、聞こえるか?』
「悪いなドフィ。とんだ復讐にあった。こりゃあ番狂わせだ」
『いや、お前はよくやったよ。少なくとも一つ、俺に有益な情報を寄越した。…フフフ!!!まさか本当に生きているとはなァ!!』
電伝虫から愉快そうな笑い声が響く。
事情をよく知らない俺でさえ、癇に触る笑い方だった。
当然、ローはその声を聞いて不快気に眉間に皺を寄せる。
ドフラミンゴに有益な情報が渡った。つまり、ローにとっては不利益なことが起こっているらしい。
「…生きてようが死んでようがてめェらには関係ねェよ。おれの質問に答えねェなら…」
言いかけて、ローは何かに気付いたように突然ふっと顔を上げた。
なんだ?……あぁ、なるほど。
確かにこの風は。
「…この話は本人が来てからでいいだろう」
横たわったヴェルゴがそう言った瞬間。
俺たちから少し離れた場所に、突如として、旋風が巻き起こったのだった。
…なんつータイミングだ。
お前は。