第15章 存在理由
「お前ら、早くガキ共を追え!」
「わかった!何か分かんないけど、アウラ、あんた狙われてんでしょ!ここはゾロに任せて行くわよ!」
「う、うん」
ゾロに急かされ、ナミに手を引かれて、あたしはモネの言葉の違和感を振り払い、出口を目指して走る。
「逃がさないわよ!!子供たちもあなたも!」
最後に、モネがまた雪で出口を塞いできたけど、手加減がいらなければ怖いものじゃなかった。
口の前で小さく人差し指と親指で輪っかを作ると、ふっと息を吹きかける。それだけでよかった。
鋭く吹いた息は、疾風となって固い雪の壁にぶつかり、壁はガラガラと音を立てて崩れ去る。
そうして、あたしとナミはビスケットルームを飛び出したの。ゾロを後ろに残して。
あたしがやったことがゾロの役に立ったのかどうかは分かんないけど、これ以上ここにいるのはよくないことは分かった。
モネの様子が何故かさっきまでと違っていたから。
彼女の言葉の端々に感じる不穏な空気。
あたしに対する執着の仕方も不気味だった。
彼って誰のこと?
あたしが何だというの。
「モチャは大丈夫かしら」
「…急ごう」
だけど今は、ナミの言う通り、駆けて行った子供たちが心配だ。
モチャは。
子供たちは無事だろうか。
あたしは足の痛みも忘れて、子供たちの後を追いかけたのだった。