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マリージョアの風【ONE PIECE】

第15章 存在理由


ナミに支えてもらって気づいたけど、あたし、今びっくりするくらい自分の体重を感じないから、立ち上がってみれば脚はあんまり痛まなかった。


傷が空気が触れてズキズキ痛むのは仕方ないけど、走れないほどではない。立ち上がる時さえ気をつければ、あとはそんなに苦労しなくて済みそうだった。


「ナミ、あたし一人で立てそう。走れると思う」

「じゃあ手離すわよ…って、何々!?ちょっと待ってよ。何でこっちくんの!?」


あたしを見てやや心配そうだったナミの声が、途中であからさまに驚きに変わる。


思わず目線を追いかけてみると、ゾロが青筋立ててこっちに向かって走って来るのが見えた。


「てめェ!!何のつもりだァ!!」


何で!?
彼、モネと戦ってたんじゃなかったの!?


あたしも一瞬ぎょっとしてしまったけど。
だけど、すぐにその理由が分かった。


だって、次の瞬間──ゾロがあたしたちの前に滑り込んで刀で受け止めたのは、モネの鋭い刃だったのだから。


ナミを貫く寸前だった。ゾロがあと2秒遅かったら、串刺しは免れなかっただろう。


…モネはあたしたちを狙って攻撃を仕掛けていたんだ。




「何弱ェの狙ってんだてめェ」

「邪魔しないでくれる?私、その白い子に用があるの。逃げられたら困るのよ」


ゾロの低い声に怯えもせず、モネはあたしを見てフフと笑う。あたしはあんたに用なんか無いんだけど!!


「あァ?お前ら知り合いか?」

「違う!初対面よ!ついでに言うとあたしはその人苦手!」

「フフ。ひどいこと言うのね」


あたしを見つめて、意味深な笑みを浮かべるモネ。


「だけど、あなたがどう思っていても、一緒について来てもらうわよ。…じゃないと私、彼に殺されちゃう」


最後に不穏なセリフを付け加えて、モネはまた雪の中に消えた。



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