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マリージョアの風【ONE PIECE】

第15章 存在理由


よく分かんないけど、助けてくれたらしい。


彼って確か、ルフィと初めて会った時に、ケンタウロスの背中に乗ってたよね。


さっき再会したのも含めて、少なくとも2回は顔を見たような気がするけど、今思えばこの人とは会話らしい会話をした記憶がない。


反応から考えると、ゾロはあたしのことを初対面と思っているようだった。


あたしは彼のことをそれなりに知っているけど、彼が一瞬顔を見ただけのあたしを覚えていないのは無理もない話だろう。


かたや、日々世経の一面を賑わす海賊一味のクルー。
かたや、名もなきただの小娘、なんだから。


そんな人に助けてもらっておいて、さすがにあたしも座り込んだままじゃいられない。痛む足に力を入れて、もう一度モネに向き合うために上体を起こす。


「…あ、ありがとう。今度は気をつける」


それを聞いて不機嫌そうに眉間に皺を寄せる彼。あたしに視線だけを寄越し、刀についた雪を一回振って払う。


「あァ?ジャマだっつってんだろ」

「へ?」

「ロギアだろうが弱けりゃ足手纏いだ」


な、な、な!
たしかに、その通りなのかもしれないけど!!


それにしても、もうちょっと言い方ってもんがあるんじゃないの!?初対面だと思ってるにしては、ズケズケとモノを言い過ぎだ。


あまりの言われように唖然としていると、ゾロはさらに追い討ちをかけるように口を開く。


「なんだ。やられちまって歩くこともできねェのか?」

「あ、歩けます!!」

「なら、後ろ下がってろ。また怪我してもしらねェぞ」


思わず噛み付いたあたしに、意地悪そうな笑みを浮かべる隻眼の男。


「そんでこっちもロギアか。まァ肩鳴らしにゃ丁度いい」


こちらに背を向けてモネと向き合う。


彼には、もう、あたしと話す気はないようだった。

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