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マリージョアの風【ONE PIECE】

第2章 旅立ち


「とにかく!あいつらほんとに大っ嫌い。あたしがこんなに傷だらけなのは全部あいつらのせいなの!」


半分はあたしが自分でこけるせいだけど。
それはこの際どうでもいいことだ。


怒りもあらわに拳を握りしめていると、青年は淡々と言葉を発した。


「それは奴らのせいじゃねェよ」


唖然として思わず青年を見つめる。


あ、あなたもあたしが自分でこけてるだけって言うの!?それもこれもあいつらが追いかけてくるからなのに!


そう言い返そうと口を開いたけど、青年はそれよりももっと厳しかった。


「お前が弱ェからだ。弱ェからいじめられる」


金色が鋭くあたしを射抜く。
言いかけた言葉が詰まる。



「弱ェやつは死に方も選べねェ」



吐き捨てるように言う青年の目にはさっきまでとは違いどこまでも暗い陰が宿っていた。



何か言いたいのに、何も言い返せない。


…心のどこかで、その通りだと思ったからだ。


いつも逃げるばっかりで立ち向かったことはない。どこかで怖いと思っている。


あいつらなんてと口では言いながら、いざとなれば面と向かって喧嘩する勇気はない。



本当はそんな弱い自分も全部分かっていた。
それでも逃げるしかなかった。



もともと体が弱くて、どう足掻いても勝てそうにないことが分かり切っていたから。



「でも…きっと敵いっこないもん」



初めて弱気な声を出す。
情けないけど、これが今の本当のあたしだ。


でも青年は特に気にしたふうでもなく、平然と言ってのけた。



「勝てないかどうかはやってみねェとわからねェだろうが」



そう言ってほんの少し口角をあげる。


なんであなたが楽しそうなの。
本当におかしな人。


だけど、つられてあたしも情けなく笑ってしまったのだった。



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