第15章 存在理由
「彼に直接聞いてみなさいよ」
動揺どころか軽くパニックになっていると、モネが一息にあたしの近くまで飛んできた。それはもう、吹雪のように一瞬で。
ハッとした瞬間、彼女の大きな翼で抱きすくめられる。
「だからあなたは子供なのよ」
まずい、と思った時にはもう遅かった。
耳元で彼女のささやきが聞こえて。
なぜか分からないけど急激に体温が下がっていくのが感じられた。
…ああ、どうしよう。
今、ものすごく眠たい。
閉じちゃだめだと思うのに、瞼がだんだん重くなる。
体にも力が入らなくなっていく。
モネの言ったことが本当かどうか、今すぐにでもローに確かめたい。
確かめたいのに…。
なんだかもう、それも、どうでもいいや…。
ローの好みの女性がどうであろうと…あたしには関係ないんだもん。
彼の眼中に無いことは、とうの昔から知ってたんだし…。
脳裏に、去っていく彼の背中が思い浮かぶ。
いくら呼び掛けてもこちらを振り向いてくれない。
彼の向く先には、アップルグリーンの髪が見えて。勝ち誇ったように笑う…彼女。
「おやすみなさい。…目覚めた時に、"あの人"に会わせてあげるわ」