第14章 ゆりかご
「おい、小娘!次はどっちだ!」
「え、あ、ちょっと待って」
考え事をしてるうちに気づけば分かれ道が前方に見えていた。あたしは慌ててまた子供たちに意識を集中させる。
だめだだめだ。
今はこっちが優先なんだから。
余計なことを考えてる場合じゃない。
「次、左に曲がって!」
叫びながら、だんだん意識を凝らして集中しなくても分かるくらいに、子供たちの気配が近くなっていることに気づいた。
きっともうすぐだ。
もうすぐ、彼女たちに会える。
少し気が緩みそうになった時、すぐそこに感じていた子供たちの気配が、突然変わった。
さっきまで聞こえてきたのは明るい話し声だったのに、叫び声と怒鳴り声に豹変する。
「何か騒がしくない?アウラ、何が起きてるか分かる?」
「分かんない。けど、子供たちの様子が変みたい」
前方を睨みつけるけど、子供たちの姿はまだ見えてこない。そうこうしてる間にも喧騒は大きくなる。
あたしはいてもたってもいられなくなって、ちょっと迷った後、ナミを振り返った。
「あたし、心配だから先行って見てくるね…!」
「え、ちょっと!」
「子供たちのところまでもうすぐだから、迷わず来れると思う!」
それだけ言い置いて、茶ひげの肩を蹴って空気に溶ける。
──お願いだから、みんな無事でいて…!!
あたしは風となり、一瞬で研究所内を駆け抜けた。