第14章 ゆりかご
シーザーはあたしたちが逃げ出す前に研究所の各フロアの扉を封鎖して、シノクニで蹂躙してしまうつもりらしい。
閉まりかける扉から間一髪ですり抜けた時はさすがに冷や汗をかいた。
茶ひげに乗っているあたしたちはなんとか脱出できたけど、残念ながら、海兵や兵士たち全員を助けることはできなかった。
シーザーには躊躇いも容赦もない。奴はもう、敵も味方も関係なくシノクニの餌食にしてしまうつもりのようだった。
扉の奥に残された海兵やケンタウロスたちのことを考えて思わず眉間に皺を寄せていると、ナミがひょこっと後ろから顔を出した。
「アウラって能力者だったのね」
「そうだったみたい。実はあたしもさっき知ったとこなの。まだ上手く使いこなせないかもしれないから、あんまり期待はしないで欲しいんだけど」
「今十分助かってるわよ」
「えへへ。ありがとう、ナミ。がんばるね」
「お前らおれの上で呑気なこったなァ!!」
茶ひげの怒鳴り声を聞き流しながら、あたしは尚も集中して子供たちの気配を追うのだった。