第14章 ゆりかご
「そこ右に曲がって!!」
「なんで上に乗ってやがる!!早く降りろ!!」
「うるさいな!つべこべ言ってないで早く走って!モチャの匂いが分かんなくなっちゃう!」
「鬼かてめェは!!」
あたしは、茶ひげの肩の上に仁王立ちしながら子供たちを探していた。
いや、正確に言うと茶ひげに乗っかっていたのはあたしだけじゃない。ルフィを除く麦わらの一味と、正体不明の侍さんがちゃっかり彼の上に乗っかりながら、出口を目指していた。
理由は、走るのが面倒。それだけだ。
ちなみに、あたしはちゃんと彼を出口まで誘導する目的があるから、ただ楽したいってだけじゃないのよ。
まあ、面倒くさいのもゼロではないんだけど。
「アウラ、モチャたち無事そうかしら?」
「うん。声だけだと、今のところみんな元気そうよ」
意識を集中して子供たちの声を聞きながら、ロビンに言葉を返す。
モチャや子供たちの声と匂いだけを聴き分け、嗅ぎ分けるのは、無数の糸の束の中から、一本だけを辿るような、神経をすり減らす作業だった。
だけど、思った通り、集中して意識を凝らせば、今のあたしには風に乗って漂ってくるその微かな匂いと音を掴み取ることができた。
その様子からは、今のところ子供たちに危険が及んでいるような感じはしない。
どちらかと言うと、危ないのはあたしたちの方だった。