第14章 ゆりかご
ナミが歓喜に打ち震えてるのが遠目でも分かる。
そしてあたしは今更ながら、ナミがナミの体で動いているところ初めて見たことに気づいた。
…こうやって見ると、彼女ってめちゃくちゃいいカラダしてんのね。
柵の上に肘をついて階下を眺めながら、ちょっと羨ましく思わないでもなかった。
たしぎさんにしてもロビンにしてもナミにしても…モネにしても。なんでこう揃いも揃ってナイスバディの美人ばっかりなの。
あたしだってこの2年でちょっとは成長したから、少年の格好をするにはかなりぶかぶかの服を着ないと違和感を感じるくらいには、体つきは女らしくなった…と思う。
だけど、彼女たちのグラマラスボディに比べるとどうしても自分がちんちくりんで、子供っぽく思えてしまってダメだった。
身長があんまり伸びなかったのが余計なのかもしれない。正確なところは測ってないからわかんないけど、今のあたしはたぶん160センチをちょっと超えたくらい。
もうちょっと伸びてくれたらよかったのになぁ。そしたらローにもルフィにもあんな荷物みたいに担がれることもないと思うのに。
そんなことを思いながら、元に戻って嬉しそうにしているナミと、対照的に心底残念そうにしてるサンジを見るともなく眺める。
すると、あたしの視線に気づいたのか、サンジが突然こちらを振り向いた。そして、カッと目を見開く。
「%○△××!?美…!?!?いや…天使?」
「え」
階下の彼からずいぶん距離があると思うのに、なぜかその目は真っ直ぐあたしに向けられていて。でっかい声でわけわかんないことを口走る。
あたしはぎょっとして、思わずルフィと何やら話していたローの影に隠れた。
なんか分かんないけど、あの人怖いんだもの!!
怯えて目の前の黒い服に捕まっていると、上からローの視線を感じた。
煩わしそうな顔をしていることは、わざわざ見なくても分かったけど、あたしは気づかないフリをする。
だって、ローの無駄に大きい体が隠れるのにちょうどよかったんだもん。