第14章 ゆりかご
「トラさん、大丈夫でしたか!?」
スモーカー中将がその姿を見て声をかけてくれるのに、そちらには目をもくれず不機嫌そうに仁王立ちしている──見た目は"あたし"だけど、中身は。
「スモーカーさん、あたしは無事だよ。…返事くらいしてよ、あたしの印象が悪くなるじゃないの!ロー!」
「フフ、やっぱりそうだったのね」
「お前、ゆきんこじゃねェのか!?」
「ええっ!?」
…そう。ロビンの察した通り。
この男はよりにもよって、あの瞬間、自分とあたしの中身を"入れ替えた"のよ。彼の能力で!!
「すげェな。それ自分も入れ替え出来んのかよ!サンジが欲しがりそうな能力だぜ」
フランキーが感心したように言う。ルフィも隣でゲラゲラ笑ってるけど、こっちはそんな呑気なこと言ってる場合じゃない。
本っ当に信じらんない。
普通こんなことする?あの状況で?
むかっ腹を立ててローを睨んでいると、彼はおもむろに胡座をかいてあたしの前に座った。
ちょっと!ショートパンツで胡座なんてかかないで!って言おうとして、
「戻れるか?」
「えっあたしがするの!?」
ローの言葉に素っ頓狂な声をあげてしまう。
「…お前以外に誰がいるんだ」
ローはそんなあたしを見て思いっきり顔を顰めて、当たり前のことのように言うけど。
だけどそんなの、あたしにできるわけないじゃないの。