第13章 悪魔の実
見ているだけでは何も変わらない。
あたしは何とかしてヴェルゴの手から逃れられないかと視線を上げてみた。その時。
「アイツらあんなところで何してやがる!」
いつの間にやら爆睡から目覚め、起き上がっていたフランキーの声があたしの耳に届く。
その声につられてまたモニターに目を向けると、そこに映っていたのは、固まっていくこの島の兵士と、そして──。
「あー!ゾロ達煙に追われてるぞ!!」
「あら、お侍さん完成してるわね」
映ったのはゾロ、サンジ、ブルック、そして初めて見る人…ロビンの言う侍。
麦わらの一味で、まだ話せていないのは彼らだけだから、あたしも思わずモニターに気を取られてしまう。
彼らの後ろにはシノクニが迫っていて。
懸命にそれから逃げて入るけれど、気を抜けば追いつかれる距離。
「…!逃げて…っ!」
あたしはヤキモキしながら、彼らを見守るしかなかった。何とかして助けてあげたいけど、今の状況じゃどうすることもできない。自分の命も怪しいってのに。
「お前ら!その煙危ねェぞ!逃げろっ…ゲホッ、ダメだ、大声出そうとすると…くっそ〜海楼石〜〜」
さすがのルフィにもいつもの能天気さは無い。そりゃ仲間のすぐ背中に殺戮兵器が迫っている状況は彼も穏やかでいられないだろう。自分も苦しそうなのに。
だけど、どうやらここにいる誰もが、人のことを気にしている場合ではないようだった。
なぜなら、シーザーがそんなルフィを見てニヤリと口を歪めて笑っていたから。今日何度目か分からない嫌な予感がした。