第13章 悪魔の実
「ごくろう!スマイリー!…さぁ、殺戮兵器"シノクニ"…!!島の景色を一変させちまえ…!」
ますます悪い笑みを浮かべて叫ぶシーザーの言葉で、あたしはスマイリーがその"シノクニ"とやらに生まれ変わったことに気づいた。
そして、どうやら"シノクニ"こそが、彼の言う毒ガス兵器だと言うことも。
「うわァ!!逃げろ!!!」
「まさかこんな時にソリが壊れるなんて!!」
「やめろ!こっちへ来るな!!」
みるみるうちに広がっていく"シノクニ"。そしてそれは、逃げ出す兵士たちに難なく追いつき、彼らを飲み込んでいく。
「なに、あれ…」
顔から血の気が引いていくのが自分でも分かった。だって、紫色に飲み込まれた人間たちは。
「人間が…固まっていく…!!」
唖然としたルフィの声が聞こえる。
そう。逃げ遅れた兵士たちは蝋のような白い物質で包まれて、逃げ出す格好のまま、その場で固まってしまったのだ。
「シュロロロロロ…。成功だ!!4年前は毒が効いても多少動けるから避難できた…!だが、固めちまえば誰も逃げられねェ!!」
シーザーが鬼気迫る迫力で喜びを叫ぶ。
「気が狂ってる…」
あたしは怒りを通り越して、もはや呆然とするしかなかった。
こんなことをして喜ぶ人間がいるなんて。子どもたちのみならず、大勢の人の命をこんな風に弄んで。
こんなことが、許されていいはずがない。
あたしはただただその思いだけを強くして、モニターの中の惨劇を見つめるしかなかった。