第13章 悪魔の実
くっそー。
こんなことなら、ローの心臓を取り返した瞬間にさっさとトンズラすればよかった。
…まあそんなこと、この男がいるから無理だったんでしょうけど。
あたしはずいぶん上にあるヴェルゴの顔を睨む。さっきみたいに首を締め上げられたりはしてなかったけど、ヴェルゴの大きな手が油断なくあたしの首に添えられているから、ちょっとも動けない。
この男にとって、あたしの首をへし折るのなんか、いとも容易いことだろう。まさに文字通り、喉頸を押さえられている状態、よ。
助けを求めようにもみんな檻の中だし、その上海楼石で繋がれているんだから能力者も動けないし。
ルフィがぎりぎりと歯を食いしばってこっちを見ているけど、彼には頼むから動かないでと思う。何かしでかそうもんなら、その前にあたしの首がぽっきり折れちゃう気がするんだもの。
ローもヴェルゴを睨みながら、やはり何もできないのか沈黙している。
あたしは悲しくなってローの心臓を抱きしめた。敵に急所を押さえられながら、好きな人の心臓を抱きかかえているってどんな状況よ。
なんともシュールな展開だなと思わずにいられないけど、そうなってしまってるんだから仕方ない。せめてこれだけは、絶対守り通してやる。