第13章 悪魔の実
「なんだ」
「…あたし、守られてばっかりだね」
目線を逸らしてそう呟いてから、あたしは前を向く。
「ゆきんこ〜!お前この鎖なんとかできねェか!?」
「ごめん、ルフィ。それより先に、あたし、アレを取り返さないと」
ここに来てから、何回もローに助けてもらってる。何かと文句は言いながら、彼がいなきゃあたしこの島で命を落としてたかもしれないってことくらい、ずっと分かっていた。
そして、それに甘えてちゃいけないってことも、ね。
あたしは何のためにここまで来たのって話よ。
ローに守ってもらうため?違うでしょ。
あたしはローがあたしの知らないところで危険な目に遭うのが嫌で、ただそれだけの想いでここまで来たんだから。大切な人の命が、敵の手に渡っている──こんな状況があっていいはずがない。
「…おい。何してるんだ。早く逃げろ」
ローの低い声が聞こえるけど、あなたこそ、そんな危ない状況で人のこと心配してる場合じゃないでしょう。
あたしは振り返らずに、目の前の敵を睨みつける。
その時にはもう、あたしの頭の中から"逃げる"なんて考えは、すっかり消え失せてしまっていたのだった。