第13章 悪魔の実
さっきまで白けて彼を見つめてたあたしだったんだけど、打って変わって今度は彼の発言にハラハラする。
あ、あなたって人は…!!!
ちょっとは自分の状態を考えたらどうなの!?
どう見ても、シーザーを怒らせるようなことをすべきじゃ無いでしょう今は!
そしてそれは思った通りで。
いや、あたしが思ってるよりさらに事態は最悪で。
「口を慎め小僧がァ!!」
シーザーが怒りをあらわにして、隣に立つ厳めしい顔つきの男が手に持っているものを、ドン!!と殴った。
「…うァッッ!!」
それと同時に苦しみ出すロー。
え!?!?
なんで!?
何が起きてるのか分からなくて目を凝らすと、ガタイの良い男が持っていて、シーザーがたった今殴ったそれは、どうやら心臓のようだった。
苦しみ方からして、おそらく、ローの。
あたしはローがスモーカー中将の心臓を取り出した時のことを思い出していた。つまり、今見ている光景と、今までの経緯から考えられるのはこういうことだ。
──ローは、なんらかの目的があって、この研究所にやってきた。
だけど、敵も馬鹿じゃないから得体の知れないローを二つ返事でここに置いてはくれない。
だから、彼は交換条件として、自分の弱点を差し出していたんだ。
こともあろうに、自分の心臓を…。