第13章 悪魔の実
ふとシーザーに目をやる。
ローが檻の中にいるってことは、シーザーに敵対していると見なされたということで。
麦わらの一味との同盟がバレたんだろうか?
でもだけど、こんなに早く??
そんなあたしの疑問は、シーザーの言葉ですぐに解決することになる。
「いい気味だな、ロー!さすがのお前でも気づきようが無かったろうが、モネが気を利かしお前を尾行していた!シュロロロ…」
そう言ってシーザーはアップルグリーンの髪色の女の人を指差す。…いや、正確に言うと人ではない。彼女は人面鳥(ハーピー)だった。
モネと呼ばれたその女性が形の良い薄い唇を開いて、言葉を発する。
「フフ。私、ローがデートに誘ってくれて、すごく嬉しかったのに。ぬか喜びさせないでくれる?」
「デ…ッッ!?」
思わず叫びそうになって慌てて口を押さえる。誰かに気づかれたかと思ったけど、誰もこっちを見ないから多分大丈夫。多分。
そんなことより…!!
で、ででデート!?!?
今デートって言ったよね!?!?
ローが!?誘ったの…!?
ケンタウロスも雪男も見たあたしは、今更ハーピーでは驚かなかったけど、彼女の発言にはわかりやすく狼狽えた。
信じられない思いで、檻の中のその人に視線を移す。何か言って欲しいのに、彼は相変わらず不機嫌そうに口を真一文字に引き結んだまま、肯定はしないけど否定もしない。
それは、彼女の言ってることに間違いは無いってこと!?本当に!?
…解せない!それは!
ローは、やるべきことがあるからって言って先に研究所に戻ったんじゃ無かったっけ…。あたしを置き去りにして。