第13章 悪魔の実
「…おい麦わら屋、アイツはどうした」
「んあ?ゆきんこのことか?あいつなら雪に埋めてきた!」
「…はァ!?」
どうやら話の内容はあたしのことのようだった。この状況でルフィがゆきんこと呼ぶのはあたし以外いないだろうし。
そして、ローが驚くのも無理はないと納得する。
あなたの横に座ってるその男は予想の斜め上をいくのよ。本当に、信じらんないことをしでかす人なんだから。
あたしが天井裏で聞き耳を立てているとも知らず、ルフィはあっけらかんと笑う。
「まァ、あそこなら安全だろ!心配すんな、後でおれが掘り起こしにいくからよ!」
「…お前に頼んだおれが馬鹿だった。死んでねェだろうな…」
死んでないよー。
ここにちゃんといますよー。
いろいろあって、なぜか今天井裏で忍者のように這いつくばってます。命に別状は無いし、怪我もしてない。
苦々しく呟くローに向かってそう叫びたいところだけど、そんなことは当たり前にできるわけないから、心の中だけで返事をする。
いや、だけどその前に、ローがちゃんとあたしのこと覚えてたことが驚きよ。
あの人のことだからてっきり自分のやるべき事の優先度だけぐんぐん上げていって、あたしのことなんか記憶の片隅に追いやったんだとばっかり。
しししっと笑うルフィを睨んでいるローを見ながら、あたしは何とも意外な気持ちがするのだった。