第13章 悪魔の実
部屋の中は結構広くて、天井もかなり高いようだった。
闇雲に進んでたのに、方向音痴のはずのあたしが1発でこの場を探し当てられたのは驚きだった。
だけど。
それよりもあたしにとって衝撃だったのは、ここから斜め前、辛うじて見える範囲にある檻の中。
そこにはさっき連れ去られた面々──ルフィ、ロビン、フランキー、そしてスモーカー中将、たしぎさんが囚われていて。
ここまでは想定内…なんだけど。
「な、なんでローも捕まってんの…!?」
思わず小声で呟いてしまう。
──なぜか檻の中には、一足先に研究所に戻ったはずのローが足を投げ出して座っていたの。
彼は確か、研究所の中を自由に行き来していなかったっけ!?だからあたしはてっきり、彼もこの研究所と何か繋がりがあるんだと、そう思ってたのに。
あたしは混乱しながら、檻の中の彼らを観察する。
能力者たち──ルフィ、ロー、ロビン、スモーカーさんはあんな檻、簡単に抜け出せそうなもんだけど、それをしないってことはあの鎖は海楼石ってことよね。
いつかナーティが話してくれた、海と同じエネルギーを発する鉱石。それが海楼石という名で実在することを、あたしはこの1年半の航海で知った。
みんな鎖で体を縛られて身動きが取れないようだったけど、意外と元気そうだった。ルフィは相変わらず緊張感なんて無縁の様子でロビンと喋ってるし、フランキーは爆睡中。ローも不機嫌ではあるけど怪我はしてなさそう。
ひとまずホッと息をついていると、ローがおもむろにルフィに向かって話しかけるのが聞こえた。
こんなに距離があるのに、あの人の声はしっかり拾うんだからあたしの耳も便利にできてるもんよね。思いながら、彼らの会話にじっと耳を澄ます。