第13章 悪魔の実
入り口は這いつくばらないと入れないくらい狭かったけど、中は意外と広かった。四つん這いになってもまだ余裕があるくらい。
あたしは被っていたマントを脱いで、今しがた通り抜けた通気口に、丸めてそれを詰め込んだ。
完全には空気を遮断できていないかもしれないけど、やらないよりマシなはずだ。
そして、四つん這いのまま真っ暗なダクトを進む。前はあんまり見えない。だけど、どこに向かって路が伸びているのかはかろうじて分かった。
たまに曲がったりしながら、分岐のないその道を這って進む。ステンレス製のダクトを進むとかなり音が響いたけど、これは地下を通っているから誰かに気づかれることはないだろう。
だからあたしは何も気にせずに、ただひたすら先へ先へと進む。
しばらく進むと、やがて、垂直に接する別のダクトと合流した。あたしが這ってきたものより一回り大きい。中腰ぐらいなら立てそうなくらいだった。
そのダクトの左右の路を見比べると、片側はどうやら上に向かって伸びているようだった。あたしは迷わずそちらを選択する。だってそろそろ地上に上がらないと、あたしずっと地下を這ってることになりそうだったからね。
上に向かって伸びるそのダクトにはご丁寧に梯子がついていた。おそらくメンテナンス用なんだろうけど、あたしみたいな侵入者にとってはこれはかなりありがたい。
よいしょよいしょとそれを登りながら、今研究所のどの辺りにいるんだろう、なんて考えてみる。
体感ではかなり内部まで来ているはずだけど、なにしろ初めての場所だから位置関係は全くわかんない。
そろそろこんなネズミの通り道じゃなくて、ちゃんと人が歩くところに出たいんだけど…。