第13章 悪魔の実
ここに来てから二度目の一人ぼっちだ。
そして、一回目、ローに白い部屋に置き去りにされた時よりずっと心が苦しい一人ぼっちだった。
挫けそうになるけど、こんなところで挫けていても誰も助けてはくれない。あたしは走りながら、必死で状況を考える。
「フランキーがぶち抜いてくれたから、研究所の一番外の門は突破できているんだもんね。それができている分、まだ状況はマシなはずよ」
あえて声に出して自分を鼓舞して、ここからさらに内側に──研究所内部に入る方法がないか、壁を目視で確認しながら走る。
シーザーがルフィたちを生かしたまま連れ去ったと言うことは、何かしら利用価値があると言うことだ。
つまり、すぐには殺さず(もちろん彼らがそんな簡単に殺られるとは思わないけど)、どこかに監禁されている可能性が高い。
あたしは、何としてでも彼らを救い出さないといけなかった。
そうでないと、あの時何もできなかった不甲斐ない自分を許せそうになかったから。
弱いからといって何もしなくていい、ということにはならない。ましてや、彼らが窮地に立たされている時に、動けるあたしが立ち止まっていていいわけがない。
能力が無いなら無いなりに、弱いなら弱いなりに、あたしにもできることがあるはずだ。
そう思って、あたしは涙が出ないようにぎゅっと歯を食いしばり、ただひたすらこの状況の解決の糸口を探して、研究所周囲を駆けた。