第12章 アウトサイダー
「お前かァーーー!!マスターってのは!!」
ルフィの元気そうな声が穴の奥から響いてきた。
ルフィ、無事だったのね。良かった。
そりゃ簡単にやられるわけないと思ってたけど。
…ってちょっと待って。
「…今、マスターって言った??」
あたしはハッとした。
今、この穴の外にマスターがいるんだろうか?
子供たちを苦しめている、張本人が?
あたしは胸のざわめきを抑えながら、穴にかけた手に力を入れる。雪は思ったより硬くてあたしごときの力じゃ崩れないようだったけど…ダメだ。あたしの筋力が足りない。
這い出ようと力むけど、あともう少しのところで腕から力が抜けてしまう。
そうこうしてる間に、外はこれまで以上に凄まじい戦いになっているようだった。
「ゴムゴムのォォ、鐘!!」
ルフィの声が聞こえて、ドゴォン、バゴォンと心臓が縮み上がるような爆音が響いて、
「シュロロロロロ…」
と、誰かの癇に障る笑い声がここまで届く。
爆音の合間にそれぞれの声が途切れ途切れ聞こえる。そんな状態がしばらく続き…。
あたしがやっとの思いで穴から這いずり出たと同時に、また、一際でかい爆発音が響き渡った。そして。
────音が、消えた。
…え?
あたしは這いずりでた体勢のまま、前を向いて固まる。
「シュロロロロロ…」
立っていたのは、ルフィじゃなかった。
ロビンでも、フランキーでも、スモーカー中将でも、たしぎさんでもない。
──不気味な笑みを浮かべた、知らない男。