第12章 アウトサイダー
「は!?え、ちょ、ルフィ!?」
「ここなら安全だろ!」
は!?!?
あたしは唖然として笑顔のルフィを見つめる。
いや、いやいやいや。
そんな雑な!!
そう、さっきルフィが立ってたところの少し後ろに、確かに大きな雪の窪みがあって、あたしもああ、あそこに隠れてようかしら、なんて現実逃避気味に考えてたりもしたんだけど。
だけどそれはあくまで妄想であって、本当に埋められるとは思わなかった!!
辛うじてあたしが背伸びしたら手が届くくらいの位置にある穴からルフィはあたしを覗き込み、いい感じだと思ったのか、ヨシ、と一つ頷く。
そして、奴はスタコラと去って行ったのだった。
ヨシ、じゃない!!!バカなの!?
あの人は本当に頭がおかしいの!?!?
「ちょっと、ルフィあたしここからじゃ何も見えないんだけど!!」
そう叫んでみるけど、雪の窪みは中は空洞でなかなか広いのだけど入り口はルフィが埋めたせいでかなり小さくて、あたしの声は雪に吸収されてあまり響かない。
それに、外は戦闘の最中だからあたしの声に注意なんて向かないだろう。
あたしは完全に、蚊帳の外。
皆に忘れ去られる存在となったのだった。
「あの男は本当に…」
あたしはしばらく呆然としていたけど、やがて、今回ばかりはルフィの判断が正しかったのかもしれないと思った。
だって、あんな三つ巴バトルの中に放り出されても、あたし絶対役に立てないし。
あたしがせいぜい相手できるのは、グランドライン前半にいた小物海賊。それも小娘だと思って舐めてかかってきたところを騙し打ちしてやっと勝てる程度。
それなのに、よく分かんないケンタウロスの群れ(しかもさっきの話だと彼らは元海賊)や、普段から新世界の海賊どもを相手にしているG-5の海兵を相手しろだなんて、あたしの手に余るに決まってる。思いっきり管轄外よ。
あたしはそう思って、ルフィに苛立つのをやめて、大人しく雪の中でじっとしているのだった。