第12章 アウトサイダー
「よし、この辺でいいだろ!」
ルフィが突然立ち止まる。
そして、
「ゴムゴムの、風船!!」
「え!?」
みるみるうちに大きくなっていくルフィの身体。そんな彼に小脇に抱えられているあたしは、当然圧迫されて息が詰まる。
「ねぇ、ちょっとルフィ、くるし…」
思わず抗議の目を向けたところで、フランキーがそんなルフィを抱えたのが目に入った。
そして、あたしはようやく、彼らがしようとしていることを悟ったのだった。
顔から血の気が引いていくのが分かる。
いや、分かってたはずなの。
ルフィがあんなにキラキラ目を輝かせて、いいこと思いついた!って言った時点で、それが"いいこと"であるはずないってことくらい。
「ねぇ、みんな、これ正気なの?」
「フフ、しっかり捕まっておかないと下に落ちたら即死よ」
「だからロビン、怖いこと言わないでってば!!」
艶やかに微笑むオネーサンを見て、あたしは彼らが本気であることを察した。
そして、次に来るだろう浮遊感に耐えるために、ぎゅっと目を瞑って歯を食いしばった。
「風来噴射(クー・ド・ブー)!!」
フランキーがそう叫んだ途端、あたしたちは砲弾のように空高く打ち上がり、そして威力が無くなると同時に、放射線を描いて降下していく。
目標地点、研究所に目掛けて。
あたしは必死でルフィにしがみつきながら、頭の片隅で思った。
──これは、本当に、規格外の馬鹿なんだわ。