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マリージョアの風【ONE PIECE】

第12章 アウトサイダー


ふと、あたしを抱えてスタスタと走る人を見上げてみた。


「ねぇ、ルフィはなんであたしを連れてってくれるの?」


そう、これはちょっと気になってたんだよね。


だってあたし、ローに戦力外通告を受けたように、他のみんなに比べたら腕は自慢できるものじゃない。


それなのに、ルフィは初めっからずっとあたしをシーザーの元に連れて行きたがっていた。


なんでだろう?


そう思って聞いてみたんだけど、ルフィの返答は曖昧なものだった。


ちょっと眉間にシワを寄せて、走りながら目線だけこっちに寄越す。


「ん〜〜〜。分かんねェけど、おまえが一番、許せねェ!って顔してた」

「なにそれ」


どうやら明確な意思があったわけじゃないらしい。彼は常に直感で動くタイプなんだろう。


まあ確かに、今までのルフィの行動を見ていても、特に深い意味があるとは思えなかった。


それはそれでいいとして、でも。


あんまり深刻にならないように、軽い感じで言ってみる。


「でもあたし、足手まといになっちゃうかもしんないよ。弱いし。一番はじめにやられちゃうかも」

「心配すんな。そんときゃおれが守ってやるよ」


あっけらかんとそう言って、ケラケラ笑う。
ルフィはどこまでも自然体だった。


そしてその後、ふと思い付いたように、驚くようなことを言ったのだった。


「だけど、おまえ、多分強ェだろ」


…?


それは…気持ち的な意味で、ってことだろうか。


確かに負けん気だけは自分でもびっくりするくらい強いけど。


「あたし、特に使える技なんてないんだけど」

「そうなのか?」

「うん。何でそう思ったの?」

「なんとなくだ!」


あ、そう。
あたしは呆れてそれ以上聞くのはやめた。


ルフィの言葉に深い意味は無いってさっき気づいたところなのに、その理由を聞くなんてあたしが馬鹿だった。


彼には彼にしか分からない直感があるのだろう。
多分、動物の野生本能に近い、そんな感覚。


まあ今回ばかりは、その直感は外れてるようだったけど。



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