第12章 アウトサイダー
「お前の能力便利だなぁ〜〜」
感心したように言うルフィに、ローはなんの反応も示さない。だからなんだと言わんばかりの視線を送り、自分勝手に話を変える。
「少し考えてな…お前に話があってきた。麦わら屋」
…どこまでも自由な人だ。
ルフィが2匹いるって言ってた敵は、確かに、あたしを襲ったのとは別にもう1匹いたらしい。
そしてそれはルフィがぶちのめして、その間に麦わらの一味の間で一悶着あって(何故かチョッパー…中身はフランキーだっけ、がボロボロだった。なんでだろう。)、何とか今全員が揃っている状態。
あたしはというと、ついさっきぐるぐる巻から解放され、ずっと苦しめられていたそれを頭の上から被るようにして話を聞いていた。
そう、これが正しい使い方よ。
あんな手足ごとぐるぐる巻にするなんて正気の沙汰じゃない。ほんとルフィときたら…ってまた恨み言が頭の中を支配しそうになって、慌てて振り払う。
違う違う。
こんなこと考えてる場合じゃなくて。
なに?ローは何を話すつもりなんだろう。
全員の視線を釘付けにしながら、だけどそれすら気付いていないかのような飄々とした態度で、ローはルフィに確認する。分かり切ってるが一応、とでも言うように。
「誰かの下につきてェってタマじゃねェよな、お前」
「ああ!おれは船長がいい!」
即答するルフィ。
ローにとってそれは想定内の返答だったようで。
相変わらずの無表情で受け流し、驚くようなことを言ってのけた。
「だったら、ウチと同盟を結べ」
……同盟???
海賊同士の??
馴れ合いはダメでも同盟は、いいの??
ますますわけがわかんない。
それに、黙っておれの下につけって言いそうなローにしては、なんだかものすごく違和感のある提案。
ローって誰の下にも付きたくない唯我独尊タイプでしょう。同盟なら対等だからいいってこと?
あたしは聞き様によってはかなり失礼なことを思いながら、黙ってローの話を聞く。
だってこれは、船長同士の会話なんだもの。
あたしが踏み込んでいい話題ではないはずだ。
そんなことくらい、あたしにでも分かるから。
そして、彼はさらに周りの全員が驚くようなことを言い出したの。
「…『四皇』を一人、引き摺り下ろす"策"がある」